サンファン号解体差し止め、住民監査の再請求を提出

「サンファン号の保存を求める世界ネットワーク(世界ネット)」は、予算成立前という理由で却下されていた住民監査請求(2月12日提出)を4月14日に再提出しました。3月19日に宮城県議会で正式に予算案が通過したことを受けて、請求内容をさらに明確にする形で再提出したもの。

予算案では、復元船の解体、ドックゲートの止水などに約2.5億円、実施設計などに約2億円が盛り込まれています。さらに県の来年度の予算には後継船(1/4規模)の建造に4.5億円が計上されている他、ドックの改修費やミュージアムの整備費にさらに約15億円が計上されています。世界ネットは、県が決めたこの計画は、復元船の有している歴史的・文化的価値及び復元船を建造した県民や世界中に広がる慶長遣欧使節の航海の関係者の思いを軽視している、また1/4のFRP(強化プラスチック)模造船では当時の伊達政宗や支倉常長らの勇気・夢・ロマンが伝わらない、と主張しています。

また、県が復元船の解体そしてFRP模型での後続船の建造・設置を決めた背景には、現在の原寸大の(木造の)復元船は老朽化が進んでおり保存はもはや不可能、ドック内の海水を抜いた場合は船体そのものの荷重で壊れてしまうと結論づけたことにあるが、横浜国大の平山名誉教授が指摘するように、ドック内に砂を流し込むことで着床の際の集中荷重を避けることが出来るので砂の上で船を支えながらの補修工事は十分可能であるとして、県はこれらの代替案の十分な検討を怠っている、と指摘しました。

そして世界ネットは、平山名誉教授が提案する方法で保修工事を進めた場合は、現在の県の改修計画の予算よりもはるかに安いコストでミュージアムを改修し歴史的文化遺産ともいえる原寸大の木造復元船を残すことが出来る、結論ありきで計画を漫然と進めることは県民に対する説明責任を果たしていない、と厳しく非難しています。

監査請求の提出にあたって、世界ネットの白田正樹会長が下記声明文を読み上げました。

 

監査請求を行った想いについて:

サンファン・バウティスタ号の復元は、イベントや観光が目的だったのでしょうか?

それもあったかもしれませんが、復元船は400年前の時代を超えて私たちに歴史的偉業を伝え、歴史を超えた感動を与えてくれています。世界の人々との国際的な交
流・親善も、船大工の技術が凝縮された復元船の建造によって生まれたものです。震災で破損したマストを修復する木材もカナダから寄贈されました。

このような復元船が生み出した成果を、修繕が不可能と簡単に諦めてよいのでしょうか? 本当に手を尽くしたと言えるのでしょうか? 一旦計画を中止して、最後の最
後まで手を尽くしたと県民が納得できるようもう一度検討をお願いしたいとの思いで監査請求に踏み切りました。よろしくお願いいたします。

2021年4月14日

監査請求人及び代理人一同

 

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